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第4回 MINORITY V.I.P ~YOU THE ROCK★
HIP HOPの可能性を、HIP HOPじゃない所にまで拡大して行きたかったんだよね。
MINORITY-NET(以下M):さんぴんCAMP後から今回のアルバムに至るまでの経緯を教えてください。

YOU THE ROCK★(以下Y): その後「さんぴんCAMP」の時代が来るわけ。そこからは様子がガラッと変わって、いつも通りのことやってるのに何か煽られちゃって、今まで気付かれなかった人がいきなり花開いたみたいになって。戸惑ったよね。それまでも俺はコンスタントにいろいろやってたし、他の人たちよりもソロアルバムを作ったのも早かったんだけどね。

  ファーストソロの「SOUND TRACK 96」を出した頃は、アルバムを出すって言うアーティストがまだいなかったから、「アルバムって言うのはこうやって作るんだぜ」みたいなことを、みんなに教えたとも思う。実際作ってる時はスタジオにいろんな人がいたよね。飯だけ食いに来る奴とかね。(笑) それで4ヶ月くらいレコーディングしてた。

俺はいろんなものが好きだから、いまだに週末は絶対にライブかDJやってるんだけどさ。音楽でもロック、パンク、テクノ、ハウス、ジャズ、ボサノバ、歌謡曲、何でも好きなのね。要するに、サブカルチャー好きなんだよ。昔はサブカルチャーが最先端だったんだよね。それに俺は東京オールドスクーラーだから、先輩に大貫憲章さんとかもいて、ツバキハウスとかにも行ってたんだよ。

ロンドンナイトの中で何十分かHIP HOPがかかる時間があって、それを待ってたよね。そのあと曲がパンクに変わると、パンクとHIP HOPのお客がモッシュが起こったりしてさ。今ではあり得ない光景だよね、昔はみんな一緒の場所でやってたからさ。それでまたフィンガー5がかかったと思ったら次にCLASHがかかったりとか。

俺はそういうところで育ったから、「スカパラといつか一緒に曲を作りたい。」とか「ピチカートとやってみたい」とか思ってたし、そういうことをやってHIP HOPの可能性を、HIP HOPじゃない所にまで拡大して行きたかったんだよね。

で、そういう動きにも一段落ついたから、今回のアルバムの制作に取りかかれたんだけど。

今回はLL COOL Jのアルバムみたいなアルバムにしたかった。ベーシックなものにしたかったんだよね。 あんまりにも韻を踏んでないだの、下手だの言われるから、「ふざけんな!証言のバースとか、ちゃんと聴いたことあんのか?」って感じで。

HIP HOPが生活の糧って言うか、すべてだったよね。
M:20年ラッパーをやってきて、最近思うことは?

Y:ここまで突っ走ってきて、この間ふと考えたらもう20周年だったんだよ! それでこの前、生まれて初めてリリースパーティーをやった。考えてみれば今まで一度もリリースパーティーをやったことなかったんだよ。(笑)

それでもっと言うと、ラッパ我リヤが10周年をやってた時にTWIGYと俺はハッと気付いたわけ。「俺らとっくに10周年過ぎちゃってるじゃん!」「忘れてた!どうする?!」みたいになっちゃってね。

とにかく、俺は何歳まで生きるか解んないけど、20年間も一つのことをやり続けたって言うのは相当なことだと思うんだよ。今の時点で言ったら人生の半分以上だからね。昔、地方営業の帰りに「10年後もみんなずっとラップをやり続けてるのかな?」とか、みんなで話したことがあったんだけど、やっぱりその頃から今までやってるような人は逆境に強いよ。昔はほんっと何にも無かったもん。コールアンドレスポンスなんて全く出来ないしね。

「Say,HO!!!」

「‥‥‥。」

みたいな。

毎日夜中の2時過ぎにさ、レスポンスも無いのに「ホーホー」って言い続けてればさ、そりゃフクロウって言われるよ。でも、その何にも無かったところでやり続けてたっていうのが、俺とかTWIGYとかの強味であって。

同時に変な癖もついちゃったんだけど、例えばいっぱいギッシリ入ったお客さんの前よりも7、8人の前でライブするときの方が燃えちゃったりするわけ。「このヤロー!!」みたいなテンションになってね。

今の若いラッパーとかの中には、客が少ないからってエグっちゃうって奴も多いけど、俺らの場合そんな時は、「今日は客が少ないから思いっきりやっちゃおうぜ!」「本番だけど練習しちゃおうぜ!」って感じで、考え方を楽しむ方向に転換しちゃうんだよね。インタビューとかも面倒がるアーティストもいるけど、俺の場合はコメント録りとかインタビューが終わると何か寂しくなっちゃうんだよね、「え?もう終わり?」みたいな。要するに逆境を楽しめるし、基本的にワーカホリックなんだろうね、俺は。

ここまでHIP HOPを食べて生きて来たって言うか、HIP HOPが生活の糧って言うか、すべてだったよね。だって20代の時の思い出が無いもん。突っ走り過ぎだか、酔っぱらい過ぎだかで、憶えてないんだよ。

音楽で世界を変えられるって信じてるからね。
M:ユウちゃんは「歩くサブカルチャー」って感じだけど、自分が思うYOU THE ROCK像とは?

D: まぁ何だろう、例えば歩いてるだけで「楽しいなぁ、あいつ。」とか。あと最近気が付いたんだけど、俺ってHIP HOPだけどPUNKラッパーなんだって思うんだよ。

昔は街に必ず、「ああいう人になっちゃいけません!見ちゃいけません!」って親が言いたくなるような変な奴っていたけど、今はそういう奴っていないじゃん。いろんな意味でアイコンになるようなさ。 俺はそういうアイコンが必要だと思うから、HIP HOPとしても生きて来たつもりだし。何か言いたいことがあるからラップし続けてるから、今回のアルバムでも言いたいことがホントに沢山あって怒ってばっかいるんだけどさ。

自分では「最近俺も落ち着いちゃったな。」とか思ったりもしてたんだけどね。でもいざ作ってみたら言いたいことがいろいろあったね。一言で言うと、「俺はHIP HOPだ!俺が現象だ!」って感じかな。いつもそうありたいと思ってるしさ。

M:最近のHIP HOPについて思うことは?

Y:まず、汗水流してラップする人が少なすぎ。客に向かって「オマエら、調子どうだ?」とか言ってるラッパー本人が一番テンション低くて、「お前こそ調子はどうなんだ?!」って言いたくなることが多いよ。ライブをやってる本人が一番楽しそうにしてなきゃ、お客が楽しい訳ないよ。

そこでいくと、BUSTAとか汗だくだし、REDMANとかMETHOD MANなんかはホントに楽しそうにライブしてるもんね。観ているこっちまで楽しくなるよ。

日本で一番楽しそうにライブをしてるのは565だと思う。俺はそういうのがHIP HOPだと思うんだよね。でも最近は、汗かいて全力で楽しむ、みたいな熱いラッパーが少ないよ。

それはレコード会社の人とかにも言えることで、仕事のあとに食事してると、「じゃ、領収書もらっといて下さいね!」って言って先に帰っちゃうんだよ。俺としては、「領収書なんてどうでも良いからもっと音楽の話しようよ。」って思うわけ。

昔はもっと熱く語ってくれたのに、、、とかね。そう、熱い奴が少なくなったよね。 世の中、変な事件や暗いニュースも多いし、何だか変な方に捻れていってるから、俺らがHIP HOPや音楽を通じて何かして、世の中を変えていかなきゃって思うんだよ。

俺はいまだに、音楽で世界を変えられるって信じてるからね。変えたいって思ってるし。

後編へ続く・・・

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