YOU THE ROCK★ (ユウ ザ ロック★) 1986年。東京にだってヒップホップシーンなんか見当たらなかった20年前、ブロンクス生まれのこのカルチャーにガッチリやられた長野の15歳の少年がブレイクDJに憧れ単身上京。
YOU THE ROCK(まだ★なし)の誕生である。数々のアルバイトをハードにこなし、気合いでヒップホップライフを驀進するユウ少年は、90年、渋谷のインクスティックDJ BARでDJ BEN(=BEN THE ACE)と出会いMCとして活動を開始。YOU THE ROCK & DJ BENとして頭角を現し、精力的にアルバムをリリース。「冬の時代」と言われた90年代前半のジャパニーズヒップホップの現場をMURO、TWIGY(マイクロフォンペイジャー)ら、同志と共にロックしまくっていく。この時期「日本にはFAB 5 FREDYみたいなヤツがいない」という思いから仕切り役を買って出て、現在のキャラクターを確立。
少年からアニキへと成長したYOU THE ROCKは94年より西麻布CLUB ZOAにて伝説のイベント『ブラック・マンデー』を主宰。そこには当時広まり始めたフリースタイルの技術を競うため東京中のラッパーが集結し、2年後の『さんぴんCAMP』(96年)へと至る大きなうねりの発火点となった。そうした一連の流れから95年にはRINO(LATINAⅡ)、TWIGY、G.K.MARYANらと日本初のハードコア集団MC “雷”を結成。“証言” “夜ジェット”といったアンダーグラウンド発のクラシックを生み出し、後に続く世代にデカいエフェクトを与える。
また、日本初の「B-BOYの、B-BOYによる、B-BOYのための」ラジオ番組『ユウザロックのヒップホップ・ナイト・フライト』(T-FM)のパーソナリティとして、現場を見たくても見れない地方のB-BOYのハートも激しくロックするなど、名実ともに現在へ連なるシーンの本流を形作った。
そして確固たる己の立ち位置を築いたYOU THE ROCKは、96年のファーストアルバム「THE SOUNDTRACK`96」以降、ソロ名義でこれまで9枚のアルバムを製作。一方で多くの客演や、04年には雷家族としてアルバムをリリースするなど、自ら体を張って確立してきたシーンが大きくなるにつれ、その表現は自由度を増し、時に気鋭の後進と、時に気心の知れた盟友と、時に異ジャンルの才能と、常にリスナーの予測の一歩先を行く作品を発表し続けている。
ヒップホップの星の下に生まれた刻印を胸に(YOU THE ROCK“★”!)、どこまで行ってもヒップホップ・オリエンテッドなエンターテイナーとして、今日も次の一手を考えている。YOU THE ROCK★は死ぬまでリアルである。言うだけ野暮だけど。(text : 堀 雅人)